小田急といえば異種併結。なんですが最近10両固定化が進み遂には1日1本-3本程度のみの異種併結となりました。沿線民を10年近くやってきてまさかこんな事がすぐに起きるとは、、と驚きです。
今回は小田急の異種併結にスポットを当てて書いていきたいなと思います。(前後編に分けて、前編が3000形6両、後編が4両で書いていきます)
全盛期には10両編成の9割方が異種併結だった小田急。今となっては8000形と3000形、1000形更新車と3000形の数本を残すのみとなりました。個人的にお気に入りだったのは3000形と8000形。そもそも車体の塗装が違うのでどちらを撮っても特徴的に映ります。
特筆すべき点は異種併結を実施するにあたって搭載装置。平成初期は現在と違い、直流電動機搭載の車両が多く、性能の面で黎明期となっていました。2000形は8両編成かつ分割併合を考慮していないので互換性のない新型機器を容易に搭載できましたが、3000形は6両編成メインで分割併合を考慮しなければならないこととなりました。
その互換性の解決にあたって搭載したのが「ブレーキ読み替え装置」
そもそも1000形は電磁直通ブレーキ、3000形は電気指令式なので互換性が存在しないためこの装置を搭載することで解決しました。
ブレーキの関係
電磁直通式 60 120 150 180 230 290 340
電気指令式 1 2 3 4 5 6 7
運転台からブレーキを指令する際にはこのように違い、(実際には電磁直通ブレーキはもう少し細かく制御できますが形式や運転状況によって違うため一例です)ブレーキ読み替え装置によってそれぞれのブレーキの近似値を後ろの車両に伝えることで併結を可能にしています。
運用面でも多少前後衝動が激しいのを除けば変わりはなく、末期には他の10両編成と共通で運用されていました。併結パターンはある程度決まっており、8000形は相方がいない8051Fと8055F、踏切事故後はそこに8064Fが加わり、3000形からも下2桁の番号を揃えられる3251Fと3255Fが主に併結相手に選ばれていました。
しかしさすがは小田急。朝ラッシュの運用を終え相模大野や喜多見に入庫したと思えば、夕ラッシュには違う組成で出庫してくるなどまさに百花繚乱。10両固定編成も4000形の千代田線直通を除けば1000形の6本、3000形の12本(当時5000形は登場してないor営業前)のみで、10両編成が足りなかった当時はとにかく繋げられるものはなんでも繋ぐイメージでした。
転機が訪れたのは2021年初頭。この時に3000形のブレーキ読み替え装置の使用がどうやら停止になったらしく、それ以降は8000形+3000形初期車、1000形更新車と3000形後期車の併結に限定されました。5000形の登場により10両固定編成が増加したことにより、異種併結を解除、その分を6連単独の運用に回すことで1000形の置き換えが進んでいきました。
2022年に入ると3258F以降の編成は異種併結に入ることが極端に少なくなっていき、段々と消滅が近付くことを実感させられていく日々でした。そして遂に7月中旬、小田急から異種併結が走る日が無くなりました。
現在は3264Fと1067Fが1本走るのみですが、今後このような光景は本当に貴重になりそうです。
小田急が長年取り組んできた「混雑緩和」という課題。設備面では複々線化が大きな答えとはなりますが、車両面では3000形を中心とした併結による長編成化、5000形を中心とした拡幅車体による10両固定編成。この2つが平成の小田急を支えた一つの答えになるのではないでしょうか。今やどの私鉄、JRでも固定編成がセオリー。今後異種併結というのは消えゆく存在となっていくのでしょうけど、車両性能の差異を乗り越え生み出した小田急の醍醐味はきっと歴史に名を残しそうですね。
今回は以上です。